ヌメ革って何の動物の皮?
ヌメ革は牛革です。また豚革のヌメ革も有ります。
私がレザークラフトの趣味を始めた、まだヌメ革のことがよく分かっていなかった頃に、レザークラフトの先輩である会社の後輩に、「ヌメ革って何の動物の革?牛革??」と聞いたことがあります。すると後輩は少し笑いながら『ヌメ側は何の動物の革でもないですし、また何の動物の革でも有りますよ。そもそも比べる対象がズレてます。』と応じました。
レザークラフトは材料に動物の革(レザー)を使うわけですが、革は動物の皮(スキン)を鞣すことで得られます。この鞣す(なめす)方法によって、どんな動物の皮でもヌメ革になり得るのです。
文章だからこそできる言葉遊びのようになってしまいましたが、動物の皮を革に変える工程の違いによってヌメ側が出来上がります。
タンニンなめしとクロムなめし
皮を鞣す(なめす)とは、動物の表皮に様々な加工を施して、皮を柔らかくしたり、丈夫にしたりすることです。なめしの最終工程が「仕上げ」で、仕上げの方法によって出来上がる革の特性が変わります。代表的ななめし方に「タンニンなめし」と「クロムなめし」があります。
タンニンなめし
渋柿やミモザなどの植物がもつ「タンニン」を使って皮をなめす方法で、古代エジプトの時代から行われてきた伝統的な手法です。タンニンには動物の皮の繊維を収縮させる効果があり、タンニン(渋)と皮のコラーゲン(タンパク質)が結合することで、丈夫でハリの有る硬めの革ができあがります。また、革の両面と断面ともに茶褐色になることが特徴です。
伸縮性が少なく、型崩れしにくい反面、キズが着きやすいですが、日光に当てたり、長く使い込むほどに味が出る(エイジング)ので、革小物を持つ人を飽きさせません。
クロムなめし
金属のクロム(塩基性硫酸クロム塩)を使って、革のコラーゲンを結びつける方法です。タンニンなめしに比べて皮を動物が生きているときに近い状態に保つことができるため、耐熱性や柔軟性が優れています。革の色は淡い青色で、染料で染めやすく、キズも着きにくいという特徴があります。
結局の所、ヌメ革って何?
タンニンなめし or クロムなめしの工程を終えた革は、更にそれぞれ水分を絞ったり、乾燥させたり、脂を加えたり、染色したり…といった工程を経て晴れて「革素材」になる訳ですが、「タンニンなめし」で加工を終えた革素材を「ヌメ革」と呼びます。豚も牛も羊も、どんな動物の皮も「タンニンなめし」までで染色や表面処理をしていなければ「ヌメ革」です。
(東急ハンズで買った端切れセットのヌメ革)
ただし、染色済みの革もヌメ革と呼ぶことが多いので、簡単に「タンニンでなめした革=ヌメ革」と覚えておくのが良いでしょう。
(タカラ産業で買った栃木レザーのヌメ革)
それぞれの革の特徴を踏まえた上で、オススメの革は?
今回の記事では、タンニンなめしとクロムなめしそれぞれの良い点ばかりを上げましたが、デメリットが無いわけでは有りません。ヌメ革は水に弱く、汚れ易いです。クロムなめしされた革は、ヌメ革の弱点を克服していますが、それ故に経年変化がほとんど起きません。
超個人的な意見ですが、趣味としてレザークラフトを楽しむ場合は、多少メンテナンスに手間がかかろうとも、エイジングを楽しむことの出来るヌメ革を使って革小物を作ることをオススメします!。
このブログを立ち上げるに当たって、改めて革素材や個々のテクニックの写真が必要になり、ヌメ皮を使ってキーホルダーを作ってみたのですが、今からエイジングが楽しみです。
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