「上上下下左右左右BA」レトロゲーマーであれば知らない人は居ないであろう、裏技の代名詞コナミコマンドです。先日コナミコマンドの生みの親であるゲームプログラマー・橋本和久氏が旅立たれました。
コナミコマンドが初めて世に出た、ファミコンソフトのシューティングゲーム「グラディウス」が発売されたのが1986年。今から34年も前のことです。
当時は家庭用のゲーム機としてファミコンが覇権を握っていて、ゲームセンターでしか遊ぶことのできないゲーム(アーケードゲーム)が次々とファミコンに移植され、お茶の間でも気軽に(コインを消費することなく)楽しめるようになっていました。
グラディウスは横スクロール型のオーソドックスなシューティングゲームですが、かなり難易度が高く、ファミコンへ移植する際に開発用のデバッグコマンドとして仕込まれたのが元々の話のようです。
コナミコマンドの本来の目的!デバッグコマンドって何だ?
デバッグコマンドとは、「プログラムから間違った動作を引き起こす虫(バグ)を取り除く(デ)ためにコンピュータに与える命令のこと」です。ゲームプログラム、特にアクションやシューティングなどの「プレイヤーのウデ次第で色々な遊び方ができる」ジャンルは、発売前にプログラム開発者がゲームの様々な場面で、可能な限りありとあらゆる操作を試して、バグを取り除く必要があります。
ゲームを作る人すべてがゲームが上手なわけではないので、任意に自機をパワーアップさせたり無敵にする必要があるわけです。
グラディウスの場合は、ゲームをスタートボタンで止めている間にコナミコマンドを入力することで、撃てる弾の数や威力を上げ、バリアーを張るなど、自機の強さを最大限に引き出すことが出来ました。(ゲーム中に一度だけですが)
元々は開発用のコマンドでしたが、ファミコンが全盛期の時代は、開発者の故意か故意でないかに関わらず、ゲーム内で起こる不思議な現象を「裏技」として面白がることが大ブームでした。こういった背景から、開発用のコマンドはそのままプログラム内に残され、「裏技」として世に出ることとなりました。
コナミコマンドの亜種が大量発生
コナミコマンドは入力することでプレイヤーが得られる結果が大きく、且つ複雑なコマンドを知っている/入力できることが、ゲームキッズの間でひとつのステイタスとなっていきました。
コナミコマンドは、グラディウスに於いて最初は単なるパワーアップするコマンドでしたが、コマンドの存在が知れ渡るにつれて、少しずつ得られる結果が変わっていきました。
例えばスーパーファミコン用のソフトであるグラディウス3でコナミコマンドを入力すると、パワーアップすることなく自爆してしまいます。(隠しコマンドをゲーム発売当初から使われては、楽しみが半減してしまいますしね)
ゲームハードがスーパーファミコンに移ったことで、本来のパワーアップコマンドは、
上上下下LRLRBAに変わっていました。
これは、スーパーファミコンのコントローラーにLR(左右)ボタンが増えたことによる遊び心でしょうね。
さらに、コナミコマンドが使えるゲームは本家のグラディウスやコナミのゲームに留まらず、他社のゲームにも移植されました。
例えばアスミックのコズミックイプシロンという3Dシューティングゲームでこのコマンドを入力すると
“I AM NOT KONAMI”
と表示されたのです。
このゲームでのパワーアップコマンドは別に用意されているのですが、コナミコマンドの国内での流行ぶりを振り返る上で重要な例だと思います。
その他にも、コナミコマンドを逆順(AB右左右左下下上上)で入力したり、スーパーファミコンのコントローラー自体を逆さに持った状態で入力(BBXXAYAY上左)したりするパターンも生まれました。
ギネス世界記録にまで載ったコナミコマンド
その流れは日本国内に留まらず、海外にまで広がりました。
海外ではグラディウスよりもミュータント・タートルズのゲームのほうが有名かもしれません。このゲームでコナミコマンドを入力すると、残機数が最大まで増えます。
またGoogleやTwitterのサイトでコナミコマンドが実装され、期間限定ではありますが入力すると普段とは違った画面が見れる、なんてこともありました。
最終的に「世界で最もよく知られた隠しコマンド」として、ギネス世界記録にも登録されました。
今でも遊べるグラディウス!
ファミコン版のグラディウスは30年以上前のソフトですが、ニンテンドー・クラッシックミニ ファミリーコンピュータに収録されていますので、巣篭もりのお供に、伝説のコナミコマンドと、それを使っても余りある難易度のシューティングゲームを楽しんでみてはいかがでしょうか?
最近の弾幕型シューティングとは異なる難しさが味わえること間違いなしです。
それでは、今回はこのへんで。
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